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コミュニケーション促進を目的としたオフィス移転は、従業員満足度にプラスの影響

転職・就職のための情報プラットフォーム「OpenWork」を運営するオープンワーク株式会社(所在地:東京都渋谷区、代表取締役:大澤陽樹)は、OpenWork の会社評価スコア・社員クチコミを使用し、国立大学法人筑波大学、株式会社ニッセイ基礎研究所、三幸エステート株式会社と、オフィスの本社移転と従業員満足度の関係について共同研究を行いました。その結果、コミュニケーション促進や働き方改革を目的とした移転では、「風通しの良さ」といった従業員満足度にプラスの影響が見られました。一方、在宅勤務の推進を目的としたオフィス移転は従業員満足度にマイナスの影響が確認されました。これは、対面でのコミュニケーション減少が従業員満足度にも影響したと考えられます。


本研究は、2024 年 7 月に AsRES(アジア不動産学会)と GCREC(世界華人不動産学会)、AREUEA(全米不動産都市経済学会)が台湾で共催した「The 2024 AsRES-GCREC & AREUEA International Real Estate Joint Conference」で発表されました(※)。


(※)発表論文「Headquarters Relocation and Employee Satisfaction: Evidence from the Crowdsourced Data」の詳細は以下 URL を参照くださいませ。
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■研究背景

コロナ禍による在宅勤務の普及などで働き方は大きく変化し、本社オフィスを移転する企業が増えています。働く場所の多様化によってオフィスは単なる作業場所ではなく、従業員間のつながりを深め、企業文化を育む場としての機能がますます求められています。


オフィス移転によって従業員満足度やエンゲージメントをいかに高めるかが重要な課題となるなか、本研究では、日本におけるオフィス移転の動向がコロナ禍前後でどのように変化したかを明らかにし、従業員満足度にどのように影響したかについて分析しました。


■分析結果概要

1.本社のオフィス移転の動機

本研究ではまず、オフィス移転に関する各企業のプレスリリースをもとに、主要な移転動機を分類し、コロナ禍前後で比較しました。

コロナ禍前は、オフィス移転の最も多い動機は「コスト削減・業務効率化」で、全体の 53.6%を占めました。次いで、「事業拡大」(43.6%)、「オフィスの集約」(33.7%)となりました。

コロナ禍以後は、「コスト削減・業務効率化」が依然として最も多い移転動機であるものの、その割合は45.2%に減少しました。一方、「在宅勤務」を動機とする移転はコロナ禍前の 1.1%からコロナ禍以後の 23.7%に大幅に増加。「生産性向上」や「コミュニケーション促進」といった動機を挙げる企業の割合も増えました。

コロナ禍をきっかけに在宅勤務や柔軟な働き方が可能となり、結果として既存の働き方改革が加速したことが考えられます。一方、企業によっては在宅勤務の普及とともに課題が明らかになり、オフィスを通じて生産性を高め、コミュニケーションを強化することの重要性が再認識されていることもうかがえます。


2.移転動機によって異なる従業員満足度への影響

次に、OpenWork のデータを用いて、オフィス移転後の従業員満足度の変化を検証しました。総合評価スコアに加え、オフィス移転と関連が深いと考えられる、「社員の士気」「風通しの良さ」「社員の相互尊重」「20 代成長環境」「人材の長期育成」の 5 つの評価項目を分析対象としました。

その結果、オフィス移転全体は、総合評価スコアや 5 つの評価項目といった従業員満足度には顕著な変化が見られませんでした。単に本社オフィスを移転するだけでは従業員満足度が向上しないことが考えられます。

一方、移転動機ごとに分析したところ、移転動機によって以下のように従業員満足度に与える影響に違いがあることが明らかになりました。

・コミュニケーション促進を目的とした移転では、「社員の士気」「風通しの良さ」「社員の相互尊重」「20 代成長環境」の 4 項目においてプラスの影響が見られました。特に、「風通しの良さ」への影響が大きく、これはコミュニケーションエリアやコラボレーションエリアの設置といった物理的なオフィス環境の改善が直接的に影響していると考えられます。

・「生産性向上」を動機とした移転においても、「風通しの良さ」「相互尊重」「20 代成長環境」にポジティブな影響が見られました。

・働き方改革を目的とした移転では、「社員の相互尊重」「人材の長期育成」に対してプラスの影響が確認されました。

・在宅勤務を推進するための移転では「社員の士気」に対してマイナスの影響が見られました。オフィススペースの縮小と関連しているケースが多く、対面でのコミュニケーションやコラボレーションの減少が、従業員の満足度に悪影響を及ぼしている可能性が考えられます。

本研究では、分析結果の時系列的な変化についても確認しました。生産性向上や働き方改革を目的としたオフィス移転の効果が実現するまでには時間を要することが明らかになりました。単なるオフィス移転にとどまらず、全社的な改革を伴うため、効果の出現までに時間がかかると考えられます。また、その効果は 3 年程度で減少することも確認されました。

一方、在宅勤務の推進を目的とした移転によるマイナスの影響も、時間の経過とともに減少する傾向が見られました。企業と従業員が新しい働き方に順応し、影響が緩和されていくとみられます。オフィスと企業、従業員の関係は時間とともに変化し続けるため、最適なオフィス環境への継続的なアップデートが必要と考えられます。


■研究メンバー

ニッセイ基礎研究所 金融研究部 不動産投資チーム 主任研究員 佐久間誠氏

筑波大学大学院 システム情報工学研究群 松尾和史氏

筑波大学 システム情報系 教授 堤盛人氏

三幸エステート株式会社 市場調査部 チーフアナリスト 今関 豊和氏

オープンワーク株式会社 代表取締役社長 大澤陽樹


■OpenWorkについて

OpenWork(オープンワーク)では、実際に働いた経験に基づく「社員・元社員の声」を共有しています。企業の社員・元社員から情報を収集している WEB サイトとしては、国内最大規模のクチコミ数と評価スコア約1,770 万件が蓄積されており、ユーザー数は約 670 万人(2024 年 8 月末時点)となっています。私たちは、企業の労働環境をよりオープンにしジョブマーケットの透明性を高めることで、健全な雇用環境の発展に貢献するとともに、企業と個人のより良いマッチングをサポートし、一人ひとりが自分らしく生きることを応援したいと考えています。

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オープンワーク株式会社 OpenWork運営事務局

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