OpenWorkは社員や元社員、一人ひとりの声をシェアすることによってジョブマーケットの透明性向上に貢献し、全ての人が働きがいを持って働ける社会を創ることをミッションとしています。長期的な社会動態や従業員エンゲージメントが企業業績に与える影響が明白になってきており、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の観点から企業を分析して投資する「ESG投資」が急拡大しています。
OpenWorkのデータは「S(社会)」や「G(ガバナンス)」に関連する項目で、人的資本やコンプライアンスの可視化に向けたデータ活用が期待できます。近年では米国証券取引委員会(SEC)が上場企業に対して人的資本に関する情報開示を義務付けたことをきっかけに、人的資本の情報開示が世界的な潮流となることが予測されます。
ESGを考慮した経営は従業員を含む全てのステークホルダーに価値向上の機会を与えます。特に人的資本への投資は、生産性や業績向上へつながることが認識され始めています。OpenWorkのデータがESG経営に活用されることで、社会的な責任を果たす会社に利益が流れる仕組みづくりに貢献し、働きがいのある企業を増えることを願っています。
OpenWorkのデータは定量的な会社評価スコアと定性的な社員クチコミで構成されています。
ESG投資は様々な手法に分類することができます。中でもOpenWorkのデータはネガティブスクリーニング、ESGインテグレーションやエンゲージメント・議決権行使に対し有効的です。
ネガティブスクリーニングとは環境・社会的に対する基準を満たさない企業を投資対象から除外することを指します。ESGインテグレーションとは、従来の投資プロセスで使う財務状況を示すデータとESGに関する情報を総合的に判断し投資先を決める方法です。エンゲージメント・議決権行使とは、ESGの課題について経営陣との対話や、株主として議決権行使等を用いて企業に対して働きかけることを指します。多大な従業員データを分析することで、組織課題の見える化に繋がり、投資指標としての活用や、経営陣との対話が可能になります。
企業業績の先行指標としてOpenWorkの社員クチコミをテキストマイニングで定量化し、「企業文化スコア」、「働きがいと働きやすさスコア」の変化率を調査し、株価との関連性を分析しました。結果、スコアが改善している企業のポートフォリオには統計的に有意な正の超過リターンが観測され、一方で悪化のポートフォリオには超過リターンは観測されず、ESG投資においてOpenWorkのデータ活用可能性が示唆されました。
西家宏典・津田博史(2018) 「従業員口コミを用いた企業の組織文化と業績パフォーマンスとの関係」日本証券アナリスト協会(文献リンク)
西家宏典・長尾智晴(2021) 「従業員口コミを用いた働きがいと働きやすさの企業業績との関係」日本金融・証券計量・工学学会,ジャフィー・ジャーナル第 19巻, pp.79-96.(文献リンク)