就職・転職のための企業リサーチサイト「Vorkers」(http://www.vorkers.com)は、「女性版:業界別 残業時間・有給休暇消化率ランキング」を発表しました。
今回の調査レポートは、4月1日の「女性活躍推進法」施行に合わせて、Vorkersに寄せられた女性社員からの会社評価レポート8,745件(内:残業時間8,745件、有休消化率8,159件)を対象に、平均残業時間(月間)と有給休暇消化率(年間)を業界別ランキングとして集計しました。
「女性活躍推進法」では、結婚、子育てなどライフスタイルの変化が多い女性が長期的に企業で活躍するために、労働者301人以上の大企業に対して女性の活躍推進に向けた行動計画の策定などを義務づけるものです。
Vorkersでは、蓄積された社員クチコミを今回女性社員のみに限定して集計し、まずは女性社員のリアルな職場環境を明らかにしたいと考えました。女性がより働きやすい労働環境の実現に向け、寄せられたクチコミから見える各業界の「現場の声」をご紹介していきます。
リリース全文、リリースPDF、各ランキング画像は下記プレスサイトよりご確認いただけます。
Vorkers 調査レポート「女性版:業界別 残業時間・有給休暇消化率ランキング」
【サマリー】
<ランキング>
・残業時間の業界格差は約3倍、有給休暇消化率の業界格差は約2倍
・残業時間が短い業界トップは「病院、医療機関(21.13時間)」
・残業時間が長い業界トップは「広告代理店、PR、SP、デザイン(63.64時間)」
・有給休暇消化率が高い業界トップは「官公庁、独立行政法人(63.86%)」
・有給休暇消化率が低い業界トップは「フードサービス、飲食(31.00%)」
<クチコミ>
・女性活躍に向けた現場の取り組み
■女性版:業界別 残業時間ランキング
女性の「平均残業時間(月間)」を集計した結果、残業時間が短い業界1位の「病院、医療機関(21.13時間)」と、残業時間が長い業界1位の「広告代理店、PR、SP、デザイン(63.64時間)」では、約3倍の開きがありました。
■女性比率が高く、さまざまなロールモデルがいる「病院、医療機関(21.13時間)」
シフト勤務が多く、残業時間は一番短かった「病院、医療機関(21.13時間)」業界。勤労者の女性比率も高く、独身女性から子持ちの方まで多彩なライフスタイルの女性がいることで、女性向けのさまざまな制度が充実しているようです。
「結婚をして、出産をしても仕事を続けているスタッフはたくさんいました。敷地内に託児所もあります。部署によりけりですが、お子さんの急な体調不良の際などは早退が出来たりなど、割と仕事と家庭を両立しやすい環境だと思います。(病院、医療機関/女性)」
「産休、育休制度が確実に取得でき、出産の度にお祝い金を組合から支給されます。産休については、多くの場合は9か月を過ぎた辺りから取得でき、育休については男女ともに1年間は基本給が支給され、最長で3年間まで取得することができます。また、午前中だけの勤務や週に数時間だけ勤務するなど、希望の勤務形態を申請するなどもの措置もあります。(病院、医療機関/女性)」
■残業するのが当たり前の「広告代理店、PR、SP、デザイン(63.64時間)」「コンサルティング、シンクタンク(57.11時間)」
残業時間が長い「広告代理店、PR、SP、デザイン」「コンサルティング、シンクタンク」業界は、「残業して当たり前、残業しないとこなせない業務量(広告代理店、PR、SP、デザイン/女性)」であるようで、定常的な長時間労働である現状がわかりました。
「男性と同様に徹夜を含む長時間労働をいとわず働くことができるならば機会は与えられるが、あくまでアップオアアウトの世界なので、子供がいるなど個人の事情はあまり考慮されない。(コンサルティング、シンクタンク/女性)」
クライアント都合によって業務状況が大きく影響する業界だからこそ、バランスをとるための有休や、業務時間改善に関しての取り組みも見受けられました。
「会社からしっかり休みを取るようにと、カレンダーを渡されます。そこに休みの予定を入力して、貼りだしたりするのでみなさんの予定も把握しやすいです。(広告代理店、PR、SP、デザイン/女性)」
「他の会社に比べ、前日に夜遅い際は、翌日の朝が遅く出勤できるなどのシステムがあります。(広告代理店、PR、SP、デザイン/女性)」
■女性版:業界別 有給休暇消化率ランキング
女性の「有給休暇消化率」を集計した結果、しっかりと有休を取れている業界1位は「官公庁、独立行政法人(63.86%)」となりました。最も有休を取れていない業界は「フードサービス、飲食(31.00%)」で、約2倍の開きがありました。
■予期せぬ早退にも柔軟に対応、1時間単位での有休消化を促進「官公庁、独立行政法人(63.86%)」
有給休暇消化率では、法令順守意識の高い官公庁が最も高い結果となりました。上司から有休の取得を推進されることはもちろん、有休をとりやすいように、制度の工夫もされているようです。
「休暇は積極的に取得するよう、管理部門や直属の上司から奨励される(官公庁、独立行政法人/女性)」
「職員は有休の他に夏休みの日数もとても多い。また有休は1時間単位で取得できることがとても良いと思った。事務スタッフも入社してすぐに有休をもらえるし、基本的にいつでも有休は取得できる。繁忙期でなければ前日や当日も可能。(官公庁、独立行政法人/女性)」
■アルバイト従業員との調整が必要になる「フードサービス、飲食(31.00%)」
フードサービス、飲食業では、正社員、アルバイト、パートとさまざまな雇用形態の方が一緒に働いているため、急なシフト変更が発生するなどで休みがとり取りづらい実態があるようです。
「24時間営業店舗に配属になると早朝5時からの始業の日もあれば夜9時からの始業の日もあり体調管理が難しい。(フードサービス、飲食/女性)」
「バイトの急な欠勤のカバーを全てしなければならずライフワークバランスを保つのが非常に難しかった。(フードサービス、飲食/女性)」
■制度と現場、双方で進める「女性が働きやすい環境づくり」
女性活躍推進法が現場で実態を伴った制度になるために必要なことの一つに、妊娠出産・育児を行う女性に対する職場の雰囲気や、産休育休制度、在宅ワークやフレックスタイム制などの積極的な導入・活用が挙げられます。制度の導入だけで終わらないために必要なことは何なのか 。多くのクチコミから見えてきたのは、女性が働きやすい環境づくりを推進する上での現場の理解、サポートの重要性でした。
「女性は働きやすい。子供がいる社員は時短を使って帰っている。一緒に働く社員もそれが普通だと思っているから、誰も文句を言わない。バリバリ働く女性社員もいれば、家事との両立をしながらのびのび働く社員もいる。会社全体として、女性が働きやすい環境作りをしようとしている。(SIer、ソフト開発、システム運用/女性)」
「育児休業は最長で2年まで取得する事ができます。(認可保育園に入れなかった場合に限り)、フレックスを利用して帰ろうと思えば、15時退勤も可能です。また月に2回はノマドで自宅でも働く事ができるので、それを有効活用出来ると思います。(インターネット/女性)」
「最近、社内でもダイバーシティ化を推進しているため、女性が出産・育児で退職しないように色々な制度ができてきた。産休を取得する女性向けの研修、時短制度を年度毎で選択できるようになった。(以前は、一度フルタイムになると時短に戻れなかったが、フルタイムから時短へ変更も可能となった。)また、時短も子供が中学生にあがるまで取得することが可能である。(証券会社、投資ファンド、投資関連/女性)」
「女性に対する待遇は非常に良いと感じる。育児や産休等をとっても白い目で見られることは一切ない。長期休暇明けもあたたく迎え入れ体力的な部分を慮り、時短勤務を取り入れながら、休み前と変わらぬ待遇で仕事をすることができる環境の様に見受けられる。休みを取っても昇進の芽がなくなるということはなく、会社への貢献や然るべきスキルを有していれば職位を上げていくことができると思う。女性の役職への登用も積極である様に感じる。(自動車、自動車部品、輸送機器/男性)」
「女性同士お互いサポートしあいながら働ける環境。10:00から16:00までなど、幼稚園や保育園のお迎えなどに影響がないスタイルで勤務しています。周りのスタッフも時間になると、すぐに『○○さん!16時ですよ!お疲れ様です!』など、声掛けをするため、非常に気持ちよく帰れるようなシステムである。また、朝一で来るスタッフは育児勤務のスタッフの他に、必ずもう一人出勤しているため、お子さんが熱を出して突然休んだりなどのイレギュラーの形にも対応がすぐにできるようになっている。お産後、販売員としてまた復帰してくるスタッフもかなり多い。基本的には、早く戻ってきてくださいね!!という温かいスタッフが多いため、戻りやすいような環境でもあると思う。(ファッション、アパレル、繊維/女性)」
「女性にはとても働き易い職場です。産前・産後休暇はとても取りやすく、その上で本人の望むキャリアを会社が一緒に考えてくれるという印象です。産休に入ってしばらくすると、一旦人事預かりとなるものの、多くの方が育休前のポジションに戻られているように感じます。(部署間で差はあると思いますが)会社は子育て世代の部下を持つ管理職に対して公私のバランスを保てるようどうサポートすべきかなどの研修もあります。また、特に妊娠・育児中の方がメインで使える休憩スペースなどもあり、これらは実際に子育てを経験された方々からの要望等を取り入れて実現されたものだと聞いております。(医薬品、医療機器/女性)」
「妊娠出産育児などで苦労する時期も、様々な制度が利用でき、上司や同僚も全面的に協力してくれるので、非常に女性にとっても働きやすい会社です。在宅勤務制度が活用できるので、特に家が遠い場合などに便利です。出産後の復帰もしやすく、なるべく希望するポジションで復帰できるようにもしてもらえました。復帰後子どもの風邪などで急遽休まなければいけない場合も快諾してもらえ、休みが長期間になる場合も仕事に支障がなければ在宅勤務制度を活用することもできます。パパが育休とるケースもあり、会社全体でサポートするカルチャーが根付いているので女性にとって仕事と家族を両立しやすいです。(日用品、化粧品/女性)」
■対象データ: Vorkersに投稿された会社評価レポートのうち、女性からの投稿(残業時間8,745件、有休消化率8,159件)を対象データとしています。(集計期間:2007年7月~2016年3月)
【Vorkersについて】 「Vorkers」では、就職・転職の参考情報として、「在籍企業の職場環境」に対する「社員・元社員」の評価点やレポートを共有しています。企業の「社員・元社員」から情報を収集しているWEBサイトとしては、国内最大規模のクチコミ数と評価スコア(240万件超)が蓄積されており、会員数は約107万人(2016年3月時点)となっています。経営者や人事部のフィルターにかかっていない「社員の生の声」を共有することで、企業の実情をオープンにし、就職・転職活動をサポートしたいと考えています。また、ジョブマーケットの透明性を高めることで、「社員を大切にする企業の方が大切にしない企業よりも評価され、誠実なCEOが誠実に会社を経営しやすい雇用環境となること」を目指しています。
〔Vorkersの由来〕 “Voice of Workers”(働く人たちの声)という意味と、“Workers”の“W”を“V”に置き換え、働く人の「自立」という意味が込められています。